センター便り 2017年6月

2017.6sentahdayori5月だと言うのに真夏のような暑さになったり、一転して寒さを感じる日があったり、不順な天候が続きます。受診される患者さんの中にも、風邪をひいたり、体調を崩されたりする方がおられます。特にご高齢の方では、気温の変化に体調がついて行けない場合があるようですので、室温の調節に留意してください。ただし、普段から元気な方が体調を崩された場合は、いちど生活を見直してみてください。健康に過信があったり、無理を重ねていたりしていませんでしょうか。このコラムで何度も書いていることですが、元気と健康は違います。「元気だから健康である」と言う思い込みは万病の元、元気であっても体調管理は万全に、とお願いしたいものです。

今回は、7月1日(土曜日)に開催します市民公開講座「難治性血管炎の最新情報」http://www.twmu.ac.jp/IOR/openclass.html のご案内です。

私どもの膠原病リウマチ痛風センターは、その名の通り膠原病・関節リウマチ・痛風などのリウマチ性疾患の診療、研究、教育を行っておりますが、「膠原病」は一つの病名ではなく、たくさんの病気の総称です。日本や中国や韓国やタイやベトナムなどを総称してアジアと言っているようなもの、と言うと理解しやすいかもしれません。そのような膠原病の中に「血管炎」をきたすものがあり、なかでもANCA関連血管炎、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、結節性多発動脈炎などは「難治性血管炎」と言われ、厚生労働省の指定難病として医療費補助の対象となっています(http://www.twmu.ac.jp/IOR/diagnosis/kougenbyo/vs.html )。

これらの病気は、治療も難しいのですが、診断も難しい。関節リウマチの場合は関節が炎症を起こしますので、関節に注目しておれば診断できます。ところが、これらの難治性血管炎の症状は、発熱だったり、皮疹だったり、手足のしびれであったり、頭痛であったり、蛋白尿であったりと多彩です。この病気の起こる場所は血管なのですが、血管は体全体に分布していますので、どこに症状が出てもおかしくないのです。症状が多彩ですので、患者さんもどの診療科を受診するのが良いのかわからず、リウマチ科、皮膚科、腎臓内科、神経内科、整形外科などを転々とする場合も少なくありません。また各々の診療科でも特殊な疾患ですので診断に難渋する場合が多いのです。

そこで、7月1日(土曜日)の市民公開講座「難治性血管炎の最新情報」では、膠原病リウマチ痛風センターの針谷正祥特任教授が中心となって、東京女子医大の関連各科、すなわち腎臓内科、皮膚科、神経内科、呼吸器内科、病理診断科のエキスパートの先生方にお集まりいただき、患者さんを対象にこの難しい病気について平易に解説していただく予定にしております。関心のある方々のご参集を期待しております。

市民公開講座「難治性血管炎の最新情報」 http://www.twmu.ac.jp/IOR/openclass.html

2017年7月1日(土曜日)14時~17時

場所:新宿住友スカイルーム(東京都新宿区 西新宿2−6−1 新宿住友ビル47F)

定員:100名、参加:無料

6月中旬からは梅雨に入り、1年で最も鬱陶しい季節を迎えます。皆様も、十分に睡眠をとり、体調管理をお願いいたします。そんなこと言ったって時間がない、という声も聞こえてきそうですが、時間はできるものではなく、作るもの。何事にも段取り良く、無駄を省いて、体のために大切な睡眠時間を確保してください。

2017年6月1日

東京女子医大附属膠原病リウマチ痛風センター 所長 山中 寿