センター便り 2017年5月

2017.5sentahdayori
「春風駘蕩」という言葉がぴったりの一年で最も過ごしやすい時期を迎えました。

春風駘蕩自心和     春風駘蕩自ずから心和らぐ

径草愈青華彩多     径草いよいよ青くして華は彩多し

誰茉莉花低緩唱     誰ならんまつりかを低く緩やかに唱うは

将時万物賜歓歌     将に時は万物に歓びの歌を賜わんとす

新緑と色鮮やかなさつきが暖かな春の微風に揺れ、楽しげな歌声が微かに聞こえ、心静かに穏やかに和らいでいられる。桃源郷とはこのような場と時のことでしょうか。

4月20日~22日に日本リウマチ学会が福岡で開催され、リウマチ学を専門とする国内外の6,000名を超える参加者が集いました。当センターに所属する医師もほとんどが参加しましたので、この間の外来は休診が多く、皆様にご迷惑をおかけいたしたことをお詫びいたします。ただし、当センターの優秀なスタッフたちは多くの医師に教育講演などをしましたし、若手の医師たちは大いに学びました。この経験はきっと日常診療にも反映されて、皆様の療養に役立つものと信じております。日本リウマチ学会では、関節リウマチのみならず、いろいろな膠原病や、脊椎関節炎、自己炎症性疾患などの広くリウマチ性疾患と呼ばれる疾患の研究者が集います。最近では、膠原病のひとつで、血管炎を生じる血管炎症候群が注目されており、本学会でも多くの発表がありました。

血管炎症候群と言う用語は耳慣れないと思いますが、文字通りいろいろな血管に炎症が生じる疾患の集まりで、ANCA関連血管炎、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、結節性多発動脈炎など多くの疾患があり、各々症状も検査結果も治療法も異なります。ただし、高血圧や糖尿病のようにありふれた疾患ではなく、頻度の少ない稀少疾患であり、診断も治療も難しいために難治性血管炎と呼ばれ、厚生労働省の指定難病として医療費の公的補助の対象になっています。このホームページに詳細な記載がありますので、参考にされて下さい(http://www.twmu.ac.jp/IOR/diagnosis/kougenbyo/vs.html)。

血管炎症候群は、症状の出方によりリウマチ科だけでなく、皮膚科、腎臓内科、神経内科、循環器内科、呼吸器内科などの診療科にかかる場合が多く、医療の現場でも混乱が起こりやすい疾患の一つです。そこで、当センターの針谷正祥特任教授が中心となり、各診療科の専門医が参加して「難治性血管炎の最新情報」という市民公開講座を開催することになりました。

2017年7月1日(土)14時~17時、新宿住友ビル47階にある新宿住友スカイルーム(https://www.bellesalle.co.jp//shisetsu/shinjuku/sankaku)で開催いたします。少し先ではありますが、関心のある方々はご聴講をお勧めいたします。

もうひとつ、NHKの長寿番組である「きょうの健康」で関節リウマチを取り上げ、私と当センター猪狩勝則准教授が出演します。「患者調査でみる!関節リウマチ徹底対策」と題し、5月15日(月)~18日(木)の4日間、午後8時30分~45分ですが(http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/)、当センターの皆様にご協力いただいているIORRA調査の成績なども使って平易に解説します。是非ともご覧ください。

さらにもう一つ。当センターが年に2回行っております患者さん向け公開講座「自分の病気を知ろう」(第43回)を5月27日(土)13時~16時に東京女子医科大学弥生記念講堂(センターから徒歩2分)で開催します。http://www.twmu.ac.jp/IOR/index/news-all/959-2017040343.html 今回は、上肢の関節手術、超音波診断の講演と、いつものように輪を作って行う療養相談です。多数のご来場をお待ち申し上げます。

春の海ひねもすのたりのたりかな

蕪村の句にあるような春の日々が続きますよう、平穏無事で、楽しいゴールデンウィークになってくれますよう、祈ります。

2017年5月1日

東京女子医大附属膠原病リウマチ痛風センター 所長 山中 寿