センター便り 2017年1月 |
新年明けましておめでとうございます。このコラムをお読みの全ての方々にとって、素晴らしい1年になりますことを心よりお祈り申し上げます。一年の計は元旦にあり、と言います。今年はこんな1年にするぞ、というような新年の誓いとか抱負ですが、日本だけではなく、西洋でもNew Year’s Resolutionとして一般的に行われているもののようです。私が米国に留学していた時にも、研究室の仲間と各々のNew Year’s Resolutionを立てた覚えがあります。皆様は2017年の年初にどんな誓いをされたでしょうか? 今月は、患者さんが外来受診される時の「付き添い」について少し書いてみたいと思います。初めて受診される時には、付き添いと来られる場合がよくあります。ご夫婦で来られる場合、息子さんや娘さんがご一緒の場合、時には5,6名の付き添いと一緒に来られる場合もあります。初めての受診ですので、不安もあろうと思いますし、医師がどんな話をするのかを複数の耳で聞いておきたいと言う気持ちもあるのでしょう。ひょっとすると、あの医者を信用できるかどうか、診察の後に皆で話し合われるのかもしれません。定期的受診の場合はどうでしょうか。私の患者さんは主として成人ですので、付き添いなくひとりで来られる方がほとんどですが、関節リウマチなどにより手足が不自由なために電車や車の乗り降りが不自由な場合は、よく付き添いの方と来られます。しかし、身体がそれほど不自由でなくても奥さまの診療に必ずご一緒に来られるご主人もおられます。お母様やお義母さまの診療に必ず付いてこられる娘さんやお嫁さんもおられます。 いつも感じるのですが、診察を見守っておられる付き添いの方々の目はとても優しいのです。患者さんの具合への心配、治療で良くなってほしいという願い、そんな気持ちが込められた眼差しを感じると、診察している私もとても癒されます。きっと日常でもとても仲の良いご夫婦や親子なのだろうと思います。心が温かくなります。診察室を出られる患者さんには「お大事に」と言うのは普通ですが、私は、付き添いの方にもできるだけ声をかけようと思っています。「いつもご苦労さまです」「いつも大変ですね」「本当に仲が良いですね」「優しいご主人で幸せですね」。すると、自分の心も温かくなるような気がして、疲れが吹っ飛びます。頑張って診察に励もうという活力になります。ただし、心が温かくならない場合もあります。暴飲暴食などで日常生活がかなり乱れておられるご主人に付いてこられる奥様は、「先生もっと厳しく指導してください」とばかりに厳しい目で診察を見守られます。そんな時は、私の生活習慣ももっときちんとしなさいと指摘されているような気がして、背筋が伸びます。本当に、診察室ではいつも皆さんに勉強させていただいています。 新年の抱負ですが、私は以前から3つの言葉を机の前に貼っています。いつも3Kなのですが、今年は「健康」「感謝」「感動」にします。年々、ワクワクするような感動を覚えることが減っているような気がしておりますので、「感動」を入れました。人を感動させられるような、自分が感動できるような、何かを求める1年にしたいと思います。 皆様の1年のご多幸をお祈りいたします。 2017年1月 東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター 所長 山中 寿 |