センター便り 2016年2月

2016.2sentahdayori2月は一年で最も寒い月です。でも朝、ドアを開けた時にとても寒いと感じる日が最近では少なくなったように思います。ちょっと気になって気象庁のホームページを見てみました。すると、過去のデータがいっぱい記録されていますので、比較してみました。東京の2月の最低気温は、最近10年間の平均で3.04℃。1955年からの10年間の平均は0.81℃、1900年からの10年間の平均は何とマイナス1.0℃だったのです。地球温暖化は遠い場所の話ではなく、東京でも確実に進行しています。

東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターは、リウマチ性疾患に特化した診療施設です。内科医、整形外科医、小児科医が在籍し、患者さんの状態に応じた専門医が診療に当たります。膠原病は内臓の病変を伴う場合が多いので内科医が担当します。痛風も、関節炎が生じた場合は整形外科医が診ることがありますが、通常の診療では高血圧などの合併症治療も含めて内科医が担当します。関節リウマチは内科医と整形外科医が共同で診療に当たります。通常の診療は内科医も整形外科医も担当しますが、合併症が生じた場合などは内科医の出番、関節や腱の手術が必要な場合には整形外科医の出番になります。

通常の医療施設だと、内科医が診ている患者さんが関節の手術が必要になると、整形外科外来へ行って受付しないと整形外科医には診ていただけません。同様に整形外科医が見ている患者さんが内科医にかかる場合でも窓口で改めて予約を取らねばなりません。ところが、当センターには内科医と整形外科が常駐していますので、普段は内科医が診ている患者さんが整形外科医に診ていただく必要が生じた場合でも、改めて受付することなく診てもらえます。逆に整形外科医が担当の患者さんが内科的診察が必要な場合にもその場で内科医が診ることができます。もちろん、より専門的な診療が必要な場合には、その専門医の診察日に受診していただいたり、東京女子医科大学病院の専門診療科で診ていただくこともあります。さらに適切なリハビリ指導も、専門の理学療法士や作業療法士が同じ施設内で行います。このように患者さんを中心として各診療科が有機的に動くシステムが当センターの特徴ですが、このような関節リウマチ診療を行っている施設は国内にもわずかしかありません。

このシステムは患者さんへのメリットもあるのですが、医師の教育でも力を発揮しています。内科医が整形外科の診療を学ぶとか、整形外科医が内科の知識を得るとか、普通にはできないことが学べます。さらにこの体制は新しい研究を生み出す素地にもなっています。そして多くの若い医師が当センターで臨床力を養っています。機動力を活かした診療・研究・教育は当センターの最大の特徴であり、伝統でもありますので、これからも続けていけるように努力したいと思っています。

このようなこともあって、当センターにはとても多くの患者さんが受診されています。予約制にしてはいるものの、どうしてもお待たせしてしまう場合があり、お叱りを受けることもあります。申し訳ありません。我々もお待たせしないように頑張っておりますので、どうかご理解をお願いいたしたいと思います。

この冬は寒暖の差が激しくて大変です。比較的暖かくてしのぎやすい冬かと思っていると、大陸から強い寒気がやってきて奄美大島でも雪が降りました。雪に弱い東京では、案の定ひどく交通が混乱しました。ちょっと油断していたら私も風邪をひいてしまいました。皆様も体調管理に留意していただきますよう、お願い申し上げます。

2016年2月1日

東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター 所長 山中 寿