センター便り 2015年7月 |
梅雨の真っただ中。毎日うっとうしい天候が続きます。でも、梅雨の時期でないと楽しめないものもあります。例えば紫陽花(アジサイ)。やわらかな薄紫が雨に濡れる様子はとても心が和みます。例えば雨傘。オシャレな雨傘がくるくる回る風情は目の保養になります。例えば、梅雨の晴れ間。眩しい日差しが照り付けると、夏近し、と思わせます。この世界はいやなことばかりではない、いつだってきっと何かの楽しみがある、と思うと心が落ち着き、人にやさしくなれる気がします。 膠原病リウマチ痛風センターのホームページにセンター便りを書き始めたのが2011年8月ですので、今回で丸4年間書いたことになります。4年前といえば東日本大震災で日本中が混乱している時でした。情報が錯綜する中で、当センターに関する記事を通院中の皆様に伝えようとして書き始めたのが、このコラムの最初でした。しかし、書いているうちに、自分自身としてまとめておきたいこと、多くの人々に伝えておきたいことなどがたくさんあることに気付きました。結果的に、毎月、1,200字程度のコラムを書いてきました。書き続けているうちに、このコラムを楽しみに待っているという患者さんからの声を聞き、できれば毎月1日にホームページにアップしようと思いたちました。それ以来、毎月の月末にこのコラムを書くことが習慣になり、同時に私にとって楽しい時間になりました。 面白いもので、コラムを書き始めると、世の中をよく考えるようになりました。また、いろんな人が書いたコラムをよく読むようになりました。その中には、お手本になるコラムがたくさんあり、とても勉強になります。そのなかで、筆者が伝えるべきものをどれだけたくさん持っているかが、とても大切だということを学びました。いくら文章が上手くても、伝えるべきものを持っていないと、読み手の心に響きません。英語を流暢に話せても、話す内容を持っていなければ会話が成り立たないのと同じです。拙い文章ではありますが、これからも精進して、いろんな情報を私なりに解釈して、皆さんの心の中にスッと入っていくようなコラムを書きたいと思っています。 医学部は理科系に分類されていますし、医師には理科系アタマを持つ人が多いのは事実です。しかし医師も人と接する職業であり、意思を伝える手段である文章を書くことの大切さは文科系と同じだと思います。私は文章を書くのが嫌いではありません。「ゴーストライターがいるのですか」などと聞かれることもありますが、とんでもない。こんな楽しい作業を他の人にとられては面白くありません(笑)。これからも皆さんのお役に立つような文章を、私自身の心のリフレッシュも兼ねて、書いていきたいと思いますので、よろしくお付き合いいただければ幸甚です。 まだ梅雨明けはしばらく先です。健康にはくれぐれも注意して、毎日をお過ごしください。 2015年7月1日 東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター所長 山中 寿 |