センター便り 2015年2月

2015.2sentahdayori1年間で最も寒い時期です。1月30日には東京でも雪が降り、新宿もうっすらと雪化粧しました。寒風が吹く季節にどんより曇った空だと何か気分が滅入りますが、寒くても真っ青な空が拡がっていると清々しい気分になります。特にやわらかな冬の陽光のぬくもり感じる時など、太陽の強い力に守られていることを感じるためか、とても癒されます。最近は「ひなたぼっこ」という、とても日本的な言葉をあまり聞かなくなったような気がしますが、寒さのために戸外に出る機会が減る時期には、意識して太陽光に浴びる機会を増やしたいものです。

実は、骨を強くする作用のあるビタミンDは、太陽光に含まれる紫外線が体の中のコレステロールの一種を活性化して合成されます。ですから骨粗鬆症の心配がある人は、日光浴をするととても良いのです。

リウマチ患者さんはもともと骨粗鬆症になりやすいうえに、ステロイド剤を服用していたりすると骨粗鬆が進みます。そのうえ、ビタミンDが不足すると、さらに骨粗鬆が進みやすくなります。ところが、リウマチ患者さんでビタミンDが不足しているかどうかはほとんど調べられていませんでした。東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターでは、通院中の関節リウマチ患者さんを対象として、IORRAという患者調査を行っています。その調査の中で、当センターの古谷武文講師が、多くの患者さんの同意を得て、血中のビタミンDの濃度を測定しました。するとリウマチ患者さんの7割にビタミンD不足がみられ、1割はかなり欠乏していることがわかりました。特に女性で、比較的若い年齢の方で、関節変形などのために身体機能が低下している人でその傾向が強いことがわかりました。骨粗鬆は高齢の女性に多くみられますが、ビタミンDは比較的若い女性の方でも不足がちという予想外の結果でした。ご協力いただいた方々には主治医からピンクの用紙でビタミンD濃度の測定結果をお知らせいたしましたが、ビタミンD不足があった患者さんはご注意いただきたいと思います。

ビタミンDはサプリメントでも補うことができますが、できることなら食品から摂取したいものです。ビタミンDはサンマやサバなどをはじめとして魚類には多く含まれていますが、逆に肉類には少ししか含まれていません。そして体内でビタミンDができやすいように、日光浴がお勧めです。夏であれば5 分程度で十分ですが、冬は紫外線が弱いので30 分程度必要と言われています。

美白という言葉が一般的になってからでしょうか、日焼けはご法度とお考えの女性も多いように思います。でも、地球上のすべての生物は太陽の光に恵まれて生きています。寒い冬であればこそ、太陽の光のぬくもりと、そのありがたさを感じながら、「ひなたぼっこ」などしてみてはどうでしょうか?

今年はインフルエンザが多いようです。感染予防が第一。マスク、うがい、手洗いの励行をお願い申し上げます。

2015年2月1日 東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター所長 山中 寿