センター便り 2015年1月

2015.1sentahdayori2

 謹賀新年。今年がすべての皆様にとって佳き1年になりますよう、病をお持ちの皆様におかれましては少しでも快癒に向かわれますよう、心よりお祈り申し上げます。

今年のお正月は日本海側から西日本にかけて大雪のために交通も混乱しましたが、幸い東京はずっと快晴で、寒いながらも陽光の眩しい新春でした。初詣では、穏やかなお正月が迎えられたことをまず感謝し、今年一年の精進を誓いました。この世の中には自分の力では何ともならないことが多々あります。病気もしかり、経済もしかり。しかし、日本にはたくさんの神様や仏様がおられて、皆が私たちを守ってくれているそうです。そして、私たち自身が自分に対しても他人に対しても正直であり、日々の務めを誠実にこなして精進していれば、守っていただけることが確信でき、自信につながるのだと思います。年の初めに際し、皆様のために精進することを祈念いたしました。

今日は、「元気」と「健康」について書いてみたいと思います。

多くの人は、元気であれば健康であると思われているかもしれません。しかし医師の目から見ると「元気」と「健康」は違います。「元気」とは自覚的なものであって自分が決めるもの、「健康」とは、客観的なものであって自分では決められない部分が多いものです。

もちろん「健康で元気」であるのが一番で、誰しもそうありたいと思います。その反対の「健康でなく元気がない」人は、「元気で健康」になるために何らかの治療が必要になると思われます。しかし、世の中には「健康だけれど元気がない」人や、「元気だけれど健康でない」人たちが意外に多い気がします。

現在では多くの病気の治療が格段に進歩し、病気があって治療しながらでも「健康で元気でいられる」人が増えてきました。なかなか治らない病気であっても、それを克服できれば「健康で元気でいられる」はずだと思います。当センターを受診されている関節リウマチの患者さんの半数以上は「寛解」と呼ばれる良い状態になっています。「健康だけれど元気がない」人ではなく、是非とも「元気」を出して、充実した人生を送っていただきたいと切に思います。

その反面、現在では「元気だけれども健康でない」人も多いようです。痛風や高血圧、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病はこの最たるものだと思います。「自分は元気だから健康だ、だから体調管理は必要ない」と言って暴飲暴食を続けている人々は要注意。調べてみるといっぱい異常が出てくることがあります。私は以前から「痛風は元気だけれども健康でない人の病気」と呼んでいます。痛風の患者さんは総じて元気です。検査で異常値がある人などは、ぜひこのことを意識していただき、「元気で健康」な人生が送れるように注意していただきたいと思います。

最近は、自然災害や大気汚染、新しい種類の感染症など、我々の健康を脅かすものも多いように思います。年初に当たり、今年1年、皆様が「元気で健康」でありますように、お祈りいたします。

2015年1月5日 東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター所長 山中 寿