センター便り 2012年12月

東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターは本年12月で開設30周年を迎えます。現在の膠原病リウマチ痛風センターは、リウマチ性疾患の患者さんが一日平均450名も診療に訪れる大きな医療施設になりましたが、1982年12月に開設された当時は、新宿NSビルの一角の小さなクリニックでした。私は当時、大学を卒業して3年目の若輩医師でしたが、当センターの立ち上げに加わり、以後の30年の当センターの発展をつぶさに見てまいりました。

1982年の開業時には、訪れる患者さんはほとんどが痛風患者さんでした。当時の痛風は、治療法はあったもののそれが一般に広まっておらず、当センターのような専門施設ができると患者さんが大挙して受診されました。次に増えたのが関節リウマチの患者さんです。関節リウマチも当時は十分な治療手段がなく、つらい思いをされていた患者さんが専門施設を探してたくさん受診されました。その後、関節リウマチは治療法が飛躍的に進歩し、しっかり治療すれば恐くない疾患に変貌しています。そして今、膠原病の患者さんもたくさん受診されています。膠原病はまだ画期的な治療法が確立していない疾患ですが、痛風や関節リウマチがこんなに良くなったことを考えれば、きっと征服できるようになると期待しています。

このように当センターはその名の通り、膠原病・リウマチ・痛風の多くの患者さんの治療にあたり、また治療法を開発し、それを広めてまいりました。この30年間で当センターを一度でも受診した患者さんは15万人にのぼります。それだけ多くの患者さんに期待され、診療にあたってきたと思うと万感こみ上げる思いと、本当にお役にたってきたかどうかという不安な思いが複雑に入り混じります。

当センター職員一同は、開設30周年を迎えたのを機に現在までの歴史を振り返り、次の30年に向けて精進いたします。今日は昨日より良い医療を、明日は今日より良い医療を提供できるように切磋琢磨します。ひとりでも多くの患者さんの笑顔が見られますように毎日を大切にします。どうかこれからもご理解とご支援をお願いいたします。今年は寒い冬になりそうな気がします。風邪を召しませぬよう、ご自愛ください。

◆お知らせ◆

2012年12月12日(水)20時~NHKためしてガッテンでリウマチを取り上げます。私も当センターに通院中の患者さんのご協力を得て番組作成に協力いたしました。ご協力いただいたお二人の患者さんには心より感謝申し上げます。さてさて、どんな仕上がりになっておりますことか・・・乞うご期待のほど。

2012年12月1日 東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター 所長 山中 寿