センター便り 2012年10月

長い残暑でしたが、2週間ほど前から急に季節が動き、いきなり秋本番の気候です。今年の夏はことのほか厳しかったとのことで夏バテの方々も多いようですが、節電をそれほど強要されなかったのは救いでした。

しかし、原発の多くが稼働していない現状で、節電をもっと強調しなくて本当に良かったのでしょうか?エアコンなどにこんなに電気を使っていていいのでしょうか?風力などの自然エネルギーからの発電が急に増えるわけはなく、結局は原発を使わない分だけ火力発電が増え、その結果として二酸化炭素排出量が増え、石油などの化石燃料が減っています。人間の活動が活発になるほど地球を虐げている・・そんな切実な思いがあります。

当センターは電力使用に関して抜本的な見直しを行い、震災前の2010年度と比較して電力消費量を20%節減することに成功しました。「不要な電気は使わない」ことをひとりひとりが自覚するだけでずいぶん違うのではないでしょうか?世の中には本当に必要かどうかを深く考えることなく行われていることが無数にあります。電力について考えることは、毎日の生活の中で何が必要で何が必要でないかを考える良いチャンスだと思います。

閑話休題。当センターの本部(河田町)では、9月から検査システムを一新しました。当センターは1982年の開設以来、血液や尿の検査を外部の施設に依頼する形式をとってきました。その結果、採血や検尿の結果を診察日に知ることができず、緊急性の高い項目に限って暫定値を出して対応してきました。しかし、新しい治療法がたくさん開発され、その中には強い免疫抑制作用のある薬剤もあり、血液検査結果などに絶えず目を光らせていないといけないことも増えました。したがって、受診時にまず血液検査を行い、その結果を参考にしながら診察する必要性が高まってきました。

当センターでも早くからこの方法を取り入れようとしてきましたが、いろいろな事情やさまざまな障壁のために実現化に至りませんでした。しかし、ウェブ技術の進歩や高速化に加え、東京女子医大全体のIT政策の方針が決まりつつあることもあって、2012年9月から上記のシステムを稼働させることになりました。

今までは、まず受付→診察→検査→会計、検査結果は次回の診察時、が普通でしたが、これからは再診の患者さんの多くは受付→まず検査→結果が出るまで少しお待ちいただく→診察→会計、という順が基本になります。検査結果が出るまでの時間は今のところ60分ぐらいですが、今後の運用状況では前後する可能性があります。検査の中には結果が出るまで数日間がかかるものもあり、その日の結果が出る項目は限られます。また今のところ検査器械の効率などから再診の患者さんの全員の結果をリアルタイムで出すことは無理のようで、まずは緊急性の高い患者さんから順次この方法に移行していく予定にしています。全体として待ち時間自体はやや長くなる可能性がありますが、その日の検査結果を知り、適切な医療が行えるような環境づくりを進めたいと思っておりますので、患者の皆様のご理解をお願い申し上げます。

この新しい方法は、当センターの本部(河田町)では実施中ですが、分室(西新宿NSビル)では現在計画中です。できるだけ早い時期に分室でも実施できる体制を整えたいと考えております。それまでの間、よろしくご理解をお願いいたします。

10月は秋の快い季節ですが、季節の変わり目でもあります。薄着しすぎて風邪を召されませんようご注意ください。

2012年10月1日 膠原病リウマチ痛風センター 所長 山中 寿