センター便り 2012年3月

3月になりました。暦では春ですが、気候は冬。それも今年は殊のほか寒い冬です。
温帯に属する日本には明確な四季があり、自然は季節感あふれる情景をもたらしてくれます。冬は寒く、暗くて最も憂鬱な季節として描かれることが多いようですが、雪をかぶった素晴らしい富士山の情景などは冬しか見られない風景ですし、澄み切った冬の青空も四季の中で一番美しいと思います。寒い冬ですが、冬を楽しむ気持ちも持ちたいものです。

リウマチ性疾患にかかわる冬の健康法の注意をいくつか思いつくままに書いてみます。

1. 何と言っても感染症に注意。

インフルエンザやノロウイルスの流行の時期です。流行情報に注意するとともに、身を守る対策も大切です。インフルエンザワクチンは必須。人混みではマスク、家に帰ったら手洗い、うがい、そして乾燥注意報が出ていたら部屋の加湿も大切です。中でも手洗いは大切にしたいものです。関節リウマチで指の変形のある人などは大変ですが、薬用ハンドソープなどでこまめに手を洗ってください。

2. 運動不足に注意を。

寒い季節は戸外で楽しむ機会も減りますし、何かと億劫になり外出しなかったりすると運動不足になります。体を動かさないと筋肉は確実に衰えますが、関節炎のある人の場合は筋肉が萎縮すると関節の負担が大きくなって関節痛が強まることにつながります。一方で生活習慣病を持つ人にとって運動不足は肥満の元凶です。体を動かさずに食べたり飲んだりの生活はいちばん避けたい状況です。寒い時期はウォーキングしてもそんなに汗をかかないので、好都合かもしれません。木枯らしの中を元気に歩いてみるのも楽しいことだと思います。何か新しい発見があるかもしれませんね。

3. 患部の保温は大切。

関節炎で変形のある人は軟骨が傷んでいて寒い時期には痛みます。寒い部屋で寝ていると暖かい布団から出ている部分が痛んだりします。肩から上腕にかけての痛みは冷えによることもあります。肩にショールを羽織るなど、暖かくしてお休みになることを勧めます。膠原病でレイノー現象がよく起こる人の場合、寒い時期は要注意。体全体の保温に努め、外出時には手袋をはめ、手洗いは温水でお願いします。

「冬来たりなば春遠からじ」、3月はそんな気分にさせる月でもあります。陽春の陽光を楽しみにして、ご自愛をお願いいたします。

2012年3月1日
膠原病リウマチ痛風センター 所長 山中 寿