センター便り 2018年6月

2018.6sentahdayori6月は水無月(みなづき)とも呼ばれます。6月後半からは梅雨に入るのに、水がないっておかしいじゃないか、と誰しも思います。ネットで調べてみたところ、実は「水の月」という意味だとか。では10月の神無月(かんなづき)も同じなのかと考えると、どうもすっきりしません。しかし、いにしえの人々が作り、永く定着してきた言葉です。きっとそれなりの意味があるんだろうと思うことにして、言葉の風情だけを楽しみたいと思います。

先月(5月)は、このセンター便りをお休みさせていただきました。2011年8月に書き始めてから、初めてのお休みでした。でも、ずる休みではありません。とても書くことができなかったのです。

既にお知らせしておりましたように、膠原病リウマチ痛風センターは5月1日から東京女子医科大学病院と統合され、外来の場も総合外来センターの1階に移りました。センター設立以来、最大の出来事でした。

5月に受診された患者さん方はお判りだと思いますが、東京女子医科大学病院はとても大きな施設であり、診察室は1階、採血室は地下、点滴は第1病棟の3階、注射をする場所と注射を受け取る場所が違う、など分業がはっきりしています。そしてそれぞれの連絡を担当するのは電子カルテのデジタル情報。採血も注射も処方も、すべて電子カルテのデータで動きます。今までの膠原病リウマチ痛風センターがコンパクトな施設で、顔と顔を合わせて連絡できたアナログのシステムとは対照的です。

昔のほうが良かったのでは、という声も聞かれます。しかし、ネットの普及にみられる如く情報化社会になり、デジタル情報を共有することが原則になった現在では、以前のシステムでは生き残れない状況になっています。今回の東京女子医科大学病院への統合は、何時かは通らねばならない関門でした。

我々医師にとって最も大変な作業は、継続して受診されている患者さんに、同じ診療が継続できるようにするために、以前のカルテに記入された情報を電子カルテに移行する作業です。センターの医師たちは、その作業で毎晩遅くまでかかりっきりになっています。
移転後しばらくは、いろんなシステムの調整や馴れが必要で、待ち時間が今まで以上に長くなるなどご迷惑をおかけすることがあると思います。また予約が取りづらくなっていて、ご迷惑をおかけしています。本当に申し訳なく思っています。

二つのお願いがあります。

・万一の処方の間違いを防ぐために、受診の際には、お手持ちの「お薬手帳」を是非ご持参いただきたく存じます

・症状がずっと落ち着いておられる患者さんは、普段は地元の医院などで治療を受け、検査や、治療方針の再考が必要になったときに東京女子医大を受診していただく方法もあります。担当医とご相談いただければ幸甚です。

できるだけ早く、スムーズな診療体制を確立したいと考えて、皆が尽力しています。何卒ご理解を頂けますよう、お願い申し上げます。

このセンター便りを1か月お休みしたことで、患者さんから残念だという声を伺いました。楽しみにしていたので、ぜひ続けてほしいと病院に投書していただいた方もおられます。私にとっては本当に嬉しい話であり、疲れが吹き飛ぶ思いがします。ご心配をおかけしたことを、お詫び申し上げます。

今年の梅雨入りは例年より早いとの予報です。体調管理にくれぐれもご配慮いただきますように。

2018年6月1日

東京女子医科大学病院膠原病リウマチ痛風センター 教授  山中 寿