センター便り 2018年4月

2018.4sentahdayori春爛漫。新幹線の車窓からは、近くにも遠くにも桜満開の様子が目立ちます。遠くから見ると川沿いに薄いピンクの霞がかかっているような、桜並木の美しさは言うまでもありません。しかし、民家のお庭に一本だけ、堂々と花を咲かせている桜もたくさん見えます。古い民家ばかりではありません。真新しそうな住宅のお庭にも大きな桜があったりします。

桜の寿命を調べてみました。ソメイヨシノは60から70年だと言われるそうですが、本来の桜は長生きで、山桜は300年以上、江戸彼岸桜では2000年以上もの超高齢桜もあるそうです。民家の庭の桜は、その家に生まれた人々の目を楽しませるとともに、皆の成長をつぶさに見てきたことでしょう。あるいは古い屋敷が壊されても、桜の木は切られることなく、新しい住宅が建ち新しい住人が来るさまを、同じ場所から見ていたかもしれません。

膠原病リウマチ痛風センターの前にも立派な桜があり、毎年この時期に皆の目を楽しませてくれています。この桜は、膠原病リウマチ痛風センターの建物が平成9年に建てられる前から桜並木として皆に愛されてきました。そして20年以上、膠原病リウマチ痛風センターの発展をつぶさに見おろしてきました。

既にお伝えしていますように、東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターは、来月(2018年5月)から東京女子医科大学病院に統合され、移転することになり、現在鋭意、準備が進んでいるところです。この建物と土地がこれからどのように使われるのか、まだ未定とのことではありますが、この桜はきっとそのままで、この土地の未来の姿を見ていくだろうと思います。

さまざまなこと思い出す桜かな (芭蕉)

私たちが桜を見て、さまざまな記憶を思い出すのでしょうが、桜も、今まで見てきたさまざまなことを思い出しているかもしれない、ふと思いました。

5月から、膠原病リウマチ痛風センターは、現在の建物から道を隔てた少し奥にある、東京女子医科大学総合外来センターの1階に移転します。それと同時に、今までのアナログのシステムから、受付も、診療も、会計も、すべてデジタルシステムに移行します。私どもも頑張ってはいるのですが、当初はかなり混乱が予想されます。受診される際には時間に余裕をもってお越しいただくよう、お願いいたします。

毎月初、ホームページに掲載してきましたこのセンター便りですが、附属膠原病リウマチ痛風センターが、東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターになっても、続けていきたいと思っております。皆様のご理解をいただければ嬉しいです。

2018年4月1日

東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター 所長 山中 寿